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Build Insiderオピニオン:佐藤太郎(1)

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Everything is Software

2014年5月27日

「これからの新しい世界はITエンジニアが作る」をテーマにしたコラム連載スタート。

佐藤 太郎
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 “Everything is Software” ー シリコンバレーの友人と話していると、こうした言葉をはしばしに耳にする。昨今の米ベンチャー業界において、世の中のすべての事象はソフトウェアによって表現することが可能であり、そこからイノベーションが起きてくる、との流れを指しているものと思われる。

 事実、米国では、農業やヘルスケア、教育、輸送などさまざまな分野にITベンチャーの技術・ノウハウが持ち込まれている。農業分野では、CLIMATE CORPORATIONのように、グーグルにいたエンジニアが農業に関するさまざまなビッグデータを解析して保険商品に適用するビジネスを成功させたり、ヘルスケア分野では、SaaSモデルで中小診療所向けにITサービスを提供するPRACTICE FUSIONが登場したりと、経済・社会・生活・行政などのさまざまな分野にソフトウェアを潜り込ませ、情報のデジタル化・融合・分析につなげていく動きが極めて活発である。

 Amazon.comのジェフ・ベゾスCEOは何年か前の講演で、世界のIT・デジタルの普及の状況について、電気がエジソンによって発明されてから今日に至るまでの普及の状況を例に出しつつ、まだ始まったばかり、と言っていたのが印象的だ。つまり、まだまだITの普及はどんどん進むし、その仮定において未だ顕在化していないたくさんのITビジネスの可能性があるということだ。

 こうした流れを見るに、これからの新しい世界はITエンジニアが作る、と言っても過言ではないのではないか、と思ってしまう。

 他方、日本の現状を見るに、日本のITエンジニアは総じて大人しい印象を持つ。発注者からの要請を受けて受託してソフトウェアの開発を行うようなパターンの中に安住しているようにも見える。ITエンジニアがもっと前に出て、社会のさまざまな課題を解決するようなサービスを提供していくようなことがもっとあってもよいのではないか。

 また、Googleが自動車の自動走行のプログラムを開発しているなどと聞くと、日本の自動車産業はどうなってしまうのかと思ってしまう。日本の産業は主に大企業とそれを支える中小企業によって成り立っているが、ソフトウェアが経済社会の隅々まで普及した場合、現状がどう変わっていくのか思いをいたすことも、日本の将来の産業像を考える上で重要なのではないか。

 かく言う私は、iPhoneアプリを作る学校に通って挫折したことがあるくらいのITど素人であり、ITエンジニアがどうあるべきかなどと大上段なことを人様に言える立場にはまったくない。が、Build Insider編集長より、むしろ世の中にどんな課題があるかをITエンジニアに知らせるようなコラムを書いてほしい、ということだったので、恥ずかしながら、今後本稿にて、私から見える世界を少しづつ書いてみたい。

佐藤 太郎(さとう たろう)

佐藤 太郎(さとう たろう)

 

1991年に経済産業省に入省し、様々な政策の企画立案に携わる。2009年から株式会社産業革新機構に出向し、オープンイノベーションを促進する投資事業に従事。2013年に退職・独立し、現在、TARO Venture代表。

志をもって新しい世界を切り開くアントレプレナーに出資等の支援を行う。シリコンバレーのベンチャーキャピタリストのネットワークであるカウフマン・フェローの一員でもある。

 

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