Ruby TIPS
RSSを扱うには? ― 標準rssライブラリ利用して天気予報を表示する
Rubyに標準搭載されているrssライブラリを使って、Webサイトで提供されているRSS/Atomフィードを処理する方法を説明する。例として天気予報情報のRSSフィードを使う。
RubyにはRSSを取り扱うためのrssライブラリが標準添付されており、これを使えば、Webサイトで提供されているRSSやAtomのデータが取得できる。今回は、一例としてYahoo!天気・災害で提供されているRSSフィード(=RSSファイル)を取得し、天気予報を表示してみる。また、ブロックの中で現在の繰り返し回数を知る方法についても紹介する。
rssライブラリを利用して天気予報を取得する
RSSやAtomはWebサイトのコンテンツや更新情報などを配信するための文書フォーマットである。例えば、今回のプログラムで利用するYahoo!天気・災害のRSSフィードの内容は以下のようなものである。文書の構造がXML形式で記述されていることが分かる。
<rss version="2.0">
<channel>
<title>Yahoo!天気・災害 - 東京(東京)の天気</title>
……省略……
<item>
<title>【 10日(金) 東京(東京) 】 曇り - 9℃/2℃ - Yahoo!天気・災害</title>
<description>曇り - 9℃/2℃</description>
<pubDate>Fri, 10 Feb 2017 17:00:00 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>【 11日(土) 東京(東京) 】 晴時々曇 - 9℃/0℃ - Yahoo!天気・災害</title>
<description>晴時々曇 - 9℃/0℃</description>
<pubDate>Fri, 10 Feb 2017 17:00:00 +0900</pubDate>
</item>
……省略……
</channel>
</rss>
|
Webブラウザーで「https://rss-weather.yahoo.co.jp/rss/days/4410.xml」にアクセスすると、このようなRSSフィードが取得できる。ここでは、特徴をつかむためにごく一部分だけを掲載してある。なお、「http://weather.yahoo.co.jp/weather/rss/」にアクセスすれば、各地のRSSフィードを取得するためのリンク一覧が表示される。
天気予報を取得するには、<channel>
要素の中にある<item>
要素の中の<title>
要素の内容を取り出せばいい。<item>
要素は複数個あることに注意しよう。それが分かればすぐにプログラムが作成できる(リスト1.2)。
require "rss"
url = "https://rss-weather.yahoo.co.jp/rss/days/4410.xml"
rss = RSS::Parser.parse(url)
rss.channel.items.each do|x|
puts x.title
end
|
RSS::Parser
クラスのparse
メソッドはURLの文字列を解析するメソッドで、フィードがRSS 2.0形式であればRSS::Rss
オブジェクトへの参照を返す。ここでは変数rss
を使ってRSS::Rss
オブジェクトが利用できるようにしている。channel
メソッドを利用すれば<channel>
要素が取得できる。さらにitems
メソッドを利用すれば<channel>
要素の中にある複数の<item>
要素を扱える。その各要素のtitle
メソッドを使って<channel>
要素を取得する。
RSS::Parser
クラスのparse
メソッドでは、URL文字列として指定されたフィードがRSS 1.0形式であればRSS::RDF
オブジェクトへの参照を返し、RSS 0.9xまたは2.0形式であればRSS::Rss
オブジェクトへの参照を返す。また、Atom 1.0形式であれば、RSS::Atom::Feed
オブジェクトへの参照を返す。
この例では、フィードがRSS 2.0形式なので、変数rss
にはRSS::Rss
オブジェクトへの参照が代入される。RSSフィード内の各要素を取得するためには、要素名と同じ名前のメソッドが利用できる。例えば、<channel>
要素を取得するためにはchannel
メソッドが使える。
また、複数の<item>
要素を取得するためにはitems
メソッドを使う(※メソッド名が、XML要素の複数形の名前となっている)。以下、どのようにして、天気予報の文字列を取得するか、RSSフィードとコードを対応させて図解しておこう。
天気予報の文字列は、<channel>要素
の下の<item>
要素(複数あるのでitems
で参照できる)の下の<title>
要素の中にある。複数の要素のうち1つを利用するにはインデックスを指定すればよい。また、ブロックなどの繰り返し処理を利用して全ての要素を利用することもできる。
このプログラムでは、rss.channel.items
で参照される複数の<item>
要素の各要素をeach
メソッドで1つずつ取り出し、ブロックの中の変数x
に渡す。ブロックの中では、title
メソッドを使って<title>
要素の値を取り出す。<title>
要素のように、子要素がない場合は文字列が返されるので、そのままputs
メソッドで表示できる。
実行結果は以下の通りである。
$ ruby sample001.rb
【 10日(金) 東京(東京) 】 曇り - 9℃/2℃ - Yahoo!天気・災害
【 11日(土) 東京(東京) 】 晴時々曇 - 9℃/0℃ - Yahoo!天気・災害
【 12日(日) 東京(東京) 】 晴時々曇 - 10℃/1℃ - Yahoo!天気・災害
【 13日(月) 東京(東京) 】 晴時々曇 - 9℃/1℃ - Yahoo!天気・災害
【 14日(火) 東京(東京) 】 晴れ - 10℃/1℃ - Yahoo!天気・災害
【 15日(水) 東京(東京) 】 晴れ - 10℃/2℃ - Yahoo!天気・災害
【 16日(木) 東京(東京) 】 晴れ - 12℃/2℃ - Yahoo!天気・災害
【 17日(金) 東京(東京) 】 晴時々曇 - 18℃/4℃ - Yahoo!天気・災害
【 23区西部 】注意報があります - Yahoo!天気・災害
【 23区東部 】注意報があります - Yahoo!天気・災害
【 多摩北部 】注意報があります - Yahoo!天気・災害
【 多摩西部 】注意報があります - Yahoo!天気・災害
【 多摩南部 】注意報があります - Yahoo!天気・災害
$
|
複数の<item>
要素の下にある<title>
要素に含まれる文字列が全て表示された。8日間の天気予報と注意報が表示されている。
※実行時に「certificate verify failed (OpenSSL::SSL::SSLError)」というエラーが表示されて実行できない場合は、HTTPSアクセスに必要なSSL証明書が見付からないのが原因の可能性がある。この場合、「http://curl.haxx.se/ca/cacert.pem」などからcacert.pemファイルを取得し、そのファイルへのパスをset SSL_CERT_FILE=/path/to/your/new/cacert.pem
コマンドなどにより環境変数に設定すればよい。
ブロックの中で繰り返し回数を数える
実行例1.1では、8日間の天気予報だけでなく、注意報も表示された。注意報が不要であれば、複数の<item>
要素の最初から8つの<title>
要素の文字列だけを表示すればよい。ところが、each
メソッドでブロックに渡されるのは各<item>
要素を表すオブジェクトだけなので、何個目の要素であるかは分からない。繰り返しの回数を記憶しておくための変数を用意してもいいが、エレガントとは言いづらい。こういうときには、each_with_index
メソッドまたはeach.with_index
メソッドを使うとよい(リスト1.2)。
require "rss"
url = "https://rss-weather.yahoo.co.jp/rss/days/4410.xml"
rss = RSS::Parser.parse(url)
rss.channel.items.each_with_index do|x,i|
puts x.title
if i > 6 then break end
end
|
each_with_index
メソッドでは、ブロックに各要素とインデックスが渡される。ここでは変数i
に繰り返し回数が渡され、その値が6を超えたら繰り返しを終了するようにしている。変数i
の初期値は0であることに注意。
実行例は以下の通り。
$ ruby sample002.rb
【 10日(金) 東京(東京) 】 曇り - 9℃/2℃ - Yahoo!天気・災害
【 11日(土) 東京(東京) 】 晴時々曇 - 9℃/0℃ - Yahoo!天気・災害
【 12日(日) 東京(東京) 】 晴時々曇 - 10℃/1℃ - Yahoo!天気・災害
【 13日(月) 東京(東京) 】 晴時々曇 - 9℃/1℃ - Yahoo!天気・災害
【 14日(火) 東京(東京) 】 晴れ - 10℃/1℃ - Yahoo!天気・災害
【 15日(水) 東京(東京) 】 晴れ - 10℃/2℃ - Yahoo!天気・災害
【 16日(木) 東京(東京) 】 晴れ - 12℃/2℃ - Yahoo!天気・災害
【 17日(金) 東京(東京) 】 晴時々曇 - 18℃/4℃ - Yahoo!天気・災害
$
|
変数i
の値が6を超えたら(7になったら)繰り返しを終了するので、8日間の天気予報だけが表示されるようになった。
なお、each.with_index
メソッドでは、引数にオフセットが指定できる。例えば、リスト1.1のeach_with_index
をeach.with_index(1)
に書き換えると、i
の値が1から始まるので7日間の天気予報が表示されることになる。
まとめ
今回は、RSS::Parser
クラスのparse
メソッドを使ってRSSやAtomのフィードを取得する方法と、XMLファイルの要素を利用する方法を紹介した。また、ブロックの中で何回目の繰り返しであるかを知るためのeach_with_index
メソッドやeach.with_index
メソッドについても触れた。
API:RSS::Rssクラス|RSS::Parserクラス|RSS::RDFクラス|RSS::Atom::Feedクラス カテゴリ:rssライブラリ
処理対象:オブジェクト.eachメソッド|オブジェクト.each_with_indexメソッド|オブジェクト.each.with_indexメソッド カテゴリ:文法 > 制御構造 > 繰り返し
API:each_with_indexメソッド カテゴリ:Enumerableモジュール
API:with_indexメソッド カテゴリ:Enumeratorクラス
※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第14回~第18回)のみ表示しています。
連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。
14. クラスのメソッドをオーバーライドするには?
継承先クラスの新メソッドで元クラスの既存メソッドをオーバーライドして異なる機能に置き換える方法と、新メソッド内から既存メソッドを呼び出すことで既存機能に新機能を追加する方法を説明する。
16. 【現在、表示中】≫ RSSを扱うには? ― 標準rssライブラリ利用して天気予報を表示する
Rubyに標準搭載されているrssライブラリを使って、Webサイトで提供されているRSS/Atomフィードを処理する方法を説明する。例として天気予報情報のRSSフィードを使う。
17. 数値/文字列/配列/範囲式/正規表現の比較を行うには?
Rubyプログラミングでは「等しいかどうか」を調べるための比較はどう行うのか? 比較を行える演算子やメソッドを使って、さまざまな比較を試してみる。