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書籍転載:Intel RealSense SDKセンサープログラミング(1)

書籍転載:Intel RealSense SDKセンサープログラミング(1)

インテル RealSenseテクノロジーとは? 構成要素/SDK/動作環境
― Part 1 開発の準備 Chapter 1 インテル RealSenseテクノロジーの概要 ―

2015年7月29日

インテル RealSenseテクノロジーが登場するまでの流れ、RealSenseの仕様やSDKの概要について紹介する。

中村 薫
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 書籍『Intel RealSense SDKセンサープログラミング』から全8本の記事を転載します。本稿はその1回目です。

書籍転載について

 本コーナーは、翔泳社発行の書籍『Intel RealSense SDKセンサープログラミング』の中から、特にBuild Insiderの読者に有用だと考えられる項目を編集部が選び、同社の許可を得て転載したものです。

 

 『Intel RealSense SDKセンサープログラミング』の詳細や購入は翔泳社のサイト目次ページをご覧ください。プログラムのダウンロードも、翔泳社のサイトから行えます。

ご注意

本記事は、書籍の内容を改変することなく、そのまま転載したものです。このため用字用語の統一ルールなどはBuild Insiderのそれとは一致しません。あらかじめご了承ください。

 本章ではインテル RealSenseテクノロジーの全体像について解説します。これまでの経緯や、構成要素、対応アプリケーションを紹介します。

1-1 インテル RealSenseテクノロジーの変遷

 「Intel(インテル)RealSenseテクノロジー」が登場する前後の状況と、登場してからの環境変化について、簡単にご紹介しましょう。

1-1-1 これまでの経緯

 Intel(インテル)RealSenseテクノロジー(以降RealSense)は、2014年1月のCES(Consumer Electronics Show)で大々的に発表されました。SDK、カメラ、赤外線センサーをモジュール化して提供し、2014年内にはRelaSenseを内蔵したPCを発売するというアナウンスがありました。

 2014年の初めというと、MicrosoftのKinect for Windows v2が開発者プレビューとしてリリースされ始めているとき、PrimeSenseがAppleに買収されOpenNIが閉鎖の危機に追い込まれているとき、Leap Motionがまだ今のような素晴らしい進化をする前のときです。その中で赤外線のDepthセンサーをモジュール化し、PCに組み込むというのは非常に衝撃的で、非常に楽しみな発表だったことを覚えています。

 時は流れ、2015年になり、実際にRealSenseが搭載されたPCが発売されています。もちろん日本でも。

図1.1 RealSense搭載PCで演奏アプリを楽しむユーザー

図1.1 RealSense搭載PCで演奏アプリを楽しむユーザー

 富士通が世界に先駆けてRealSense搭載PCを発売しています。家電量販店に行けば実際に目にすることができるでしょう。

 いままではPCとは別にセンサーを購入する必要がありましたが、センサーがPCに内蔵されることでその必要がなくなります。また、PCを購入すれば自ずとセンサーも持っているという状況も徐々に広がっていきますので、より多くのユーザーにアプリケーションを届けることができます。センサーを持っているユーザー数という制約から、このようなセンサーデバイスは個人向けよりも商業用のイベントで利用されることが多かったのですが、RealSense搭載PCが増えることで、家庭にもセンサーアプリケーションの波が広がることが予想されます。実際に、2015年1月に「KAGURA」という日本製の対応アプリケーションがリリースされています。KAGURAについては後ほど紹介します。

1-1-2 Windows 10ではOSレベルでサポート

 Windowsの次期バージョンであるWindows 10では、「Windows Hello」と呼ばれる生体認証機能にインテル RealSense 3Dカメラを使用するというアナウンスがありました。これは、RealSenseが広く利用されるきっかけとなる可能性を示唆しています。

 今後は、商業用はもちろん、家庭用にもセンサーアプリケーションを届けやすくなりますので、センサープログラミングを始めるなら、いまこそ絶好の機会と言えるでしょう。

1-2 RealSenseの構成要素

 RealSenseを構成するSDKおよびカメラについて解説します。

1-2-1 構成要素

 インテル RealSenseテクノロジーは、「インテル RealSense SDK」および「インテルReal Sense 3Dカメラ」から構成されています。なお、インテル RealSense SDKはインテル RealSense 3Dカメラを使うことですべての機能を使えますが、画像に関するいくつかの機能は一般的なWebカメラ、音声については一般的なマイクからの入力も扱えます。

1-2-2 インテル RealSense SDK

 インテル RealSense SDKは無償で配布されているSDKであり、RealSenseの中核をなすものです。インテル RealSense 3Dカメラを使うことですべての機能を利用できます。

 インテル RealSense SDKには奥行きを含めた3次元の認識と、画像処理の2次元の認識があります。2次元の認識については、インテル RealSense 3Dカメラ以外の一般的なWebカメラでも利用できるため、既存のハードウェアにインテル RealSense SDKを使ったアプリケーションを実行させることが可能となっています。

【Column】インテルPerceptual Computing SDK

インテル RealSense SDKの前身に当たるのが「インテルPerceptual Computing SDK」です。手指の認識や顔検出、音声認識など、インテル RealSense SDKの基本機能が含まれています。
図A 前身となる「インテルPerceptual Computing SDK」

図A 前身となる「インテルPerceptual Computing SDK」

1-2-3 インテル RealSense 3Dカメラ

 インテル RealSense SDKのすべての機能を利用するためのカメラです。RGBカメラおよび赤外線カメラから構成されており、従来の色情報のほかに奥行きの情報を取得でき、3次元での認識が可能です。インテル RealSense 3Dカメラにはいくつかの種類があります。

図1.2 インテル RealSense 3Dカメラの種類

図1.2 インテル RealSense 3Dカメラの種類
  • デスクトップPCやノートPC、タブレットPCのフロント(手前側)に内蔵される「F200」
  • タブレットPC、タブレット端末のリア(外側)に内蔵される「R200」
  • タブレットPC、タブレット端末、スマートフォンのリア(外側)に内蔵される「R100」

 PC向けのカメラ(F200/R200)はリアルタイム処理となっており、フロント側はユーザーの認識によるジェスチャー操作や顔の検出などの利用が考えられます。リア側は空間スキャンやARなどの用途が考えられます。

 一方、スマートフォン向けのカメラ(R100)はリアルタイムではなく後処理となっています。撮影した写真にRGBデータとともに奥行き情報が付いていると考えるとわかりやすいでしょう。用途としては画像中の物体間の距離を測る、奥行き情報を利用した写真の加工などがあるでしょう。

>購入するには

 本章冒頭でも述べたとおり、インテル RealSense 3DカメラはPCへの内蔵を前提としています。すべての機能を試すために*1、アプリケーション開発の際にはインテルReal Sense 3Dカメラ内蔵のPCを購入するか、開発用の「Intel RealSense Developer Kit」を購入する必要があります。Intel RealSense Developer Kitは2015年3月現在でF200、R200となっており、IntelのWebサイト(https://software.intel.com/en-us/realsense/devkit)からオーダーサイトへ移動して購入できます。

  • *1 先にも触れたとおり、一部の機能は一般的なWebカメラやマイクでも利用できます。
図1.3 「Intel RealSense Developer Kit」の購入ページ(F200)

(F200)

図1.3 「Intel RealSense Developer Kit」の購入ページ(R200)

(R200)

図1.3 「Intel RealSense Developer Kit」の購入ページ

1-3 RealSenseの動作環境

 ここでは、RealSenseのハードウェア要求、カメラの仕様、ソフトウェア開発環境について解説します。

1-3-1 ハードウェア要求

 RealSenseをF200で使用する場合のハードウェア要求は表1.1の通りです。CPUがHaswell以上のみとなっていますので、最近のPCでのみ動作します。R200などについては、IntelのWebサイトで最新の情報を確認してください。

対応OS Windows 8.1(x64)
CPU 第4世代(コードネーム「Haswell」)以降のインテルCoreプロセッサ
ストレージ 8GB以上の空き領域
カメラ インテル RealSense 3Dカメラ(外付けの場合USB 3.0ポートが必要)
表1.1 インテル RealSenseテクノロジーのハードウェア要求

1-3-2 インテル RealSense 3Dカメラの仕様

 インテル RealSense 3Dカメラの仕様を表1.2に示します。ここでは、本書で使用するフロントのF200の場合を示します。

カラー画像解像度 最大1920×1080@30FPS
Depthデータ解像度 最大640×480@60FPS(VGA)
または最大640×240@120FPS(HVGA)
IR(赤外線)画像解像度 最大640×480@120FPS
カラーカメラ視野角(D×V×H) 77°×43°×70°(円錐)
Depthカメラ視野角(D×V×H) 90°×59°×73°(円錐)
IRプロジェクター視野角(D×V×H) N/A×56°×72°(ピラミッド型)
認識範囲 20cm~120cm
ジェスチャー認識範囲 VGA:20cm~55cm HVGA:20cm~60cm
顔検出 2D:35cm~120cm 3D:35cm~70cm
表1.2 インテル RealSense 3Dカメラ(F200)の仕様

1-3-3 ソフトウェア開発環境

インテル RealSense SDKは、次の言語および開発環境でアプリケーションを開発できます。

Visual Studio 2010~2013以降(最新のサービスパック適用、Express、Communityも可)
  • ネイティブ(C++)
  • マネージ(.NET:C#、VBなど)
  • Microsoft .NET 4.0
Unity(C#)
  • 4.1.0以降(4ではProが必要、5ではPersonalでも可)
Java
  • JDK 1.7.0_11以降
JavaScript(ブラウザ)
  • Microsoft Internet Explorer 10.0.13以降
  • Google Chrome 33.0.1750.146以降
  • Mozilla Firefox 27.0.1以降
Processing
  • 2.1.2以降

 次回は、インテル RealSense SDKの機能概要を紹介します。

※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第1回~第5回)のみ表示しています。
 連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。

書籍転載:Intel RealSense SDKセンサープログラミング(1)
1. 【現在、表示中】≫ インテル RealSenseテクノロジーとは? 構成要素/SDK/動作環境

インテル RealSenseテクノロジーが登場するまでの流れ、RealSenseの仕様やSDKの概要について紹介する。

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2. インテル RealSense SDKの機能概要(手・顔の検出から音声機能まで)

インテル RealSense SDKで利用できる機能を、実際の使用例を示しながら分かりやすく紹介する。

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3. RealSense SDK Unity ToolkitによるUnityアプリ開発の基礎

インテル RealSense SDK Unity Toolkitの概要と、それがUnity向けに用意している各種機能を紹介する。

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4. Unity+RealSenseで作るノンゲームアプリ「スマイルトレーニング」

インテル RealSense SDKとUnityを使ったサンプルアプリケーションを実際に作成してみる。

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5. WPF(Visual Studio)+RealSenseで作る表情感知アプリ

インテル RealSenseを活用したサンプルアプリケーション開発の第2弾として、Visual StudioとRealSenseを組み合わせる方法を紹介する。

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