書籍転載:ASP.NET MVC 5 実践プログラミング
LINQ:データを並べ替える - orderby句[C#]
取得したデータを並べ替えるためのorderby句/OrderByメソッドについて解説する。書籍転載の20本目(基礎編「5-3-3」)。
書籍転載について
本コーナーは、秀和システム発行の書籍『ASP.NET MVC 5 実践プログラミング』の中から、特にBuild Insiderの読者に有用だと考えられる項目を編集部が選び、同社の許可を得て転載したものです。
『ASP.NET MVC 5 実践プログラミング』の詳細や購入は秀和システムのサイトや目次ページをご覧ください。
ご注意
本記事は、書籍の内容を改変することなく、そのまま転載したものです。このため用字用語の統一ルールなどはBuild Insiderのそれとは一致しません。あらかじめご了承ください。
5-3-3 データを並べ替える - orderby句
取得したデータを並べ替えるには、orderby句を利用します。たとえば以下は、ArticlesテーブルからPublished列について降順、Title列について昇順でソートする例です。
public ActionResult Orderby()
{
var articles = from a in db.Articles
orderby a.Published descending, a.Title
select a;
return View(articles);
}
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SQL-SELECT命令のORDER BY句と同じく、「ソートキー+並び順, ...」(カンマ区切り)の形式でソート順を表します。ただし、並び順はascending(昇順)、descending(降順)で表します。デフォルトはascendingなので、昇順の場合は省略しても構いません*23。
- *23 列そのものだけでなく、たとえば
a.Title.Length
とすることでタイトルの文字列長についてソートするようなこともできます。
orderby句に相当するメソッド構文は、以下のとおりです。
メソッド | 概要 |
---|---|
OrderBy | 昇順にソート |
OrderByDescending | 降順にソート |
ThenBy | 昇順にソート(第2キー以降) |
ThenByDescending | 降順にソート(第2キー以降) |
メソッド構文では、昇順/降順で異なるメソッドを利用する点、第1キーと第2キー以降とでまた、メソッドを使い分ける点に注意してください。既に他のソート条件が設定されている状態で、OrderBy/OrderByDescendingメソッドを連続して呼び出した場合、それ以前の設定されたソート式は無視されますので注意してください。
以下は、メソッド構文でリスト5-30を書き換えた例です。
public ActionResult Orderby2()
{
var articles = db.Articles
.OrderByDescending(a => a.Published)
.ThenBy(a => a.Title);
return View(articles);
}
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応用:ソート可能なグリッド表を作成する
orderby句の応用として、Articlesテーブルをもとに、ソート可能なグリッド表を作成してみます。それぞれのタイトル行をクリックすると、データを昇順にソートし、同じ列を重ねてクリックすると、昇順⇔降順と反転します。デフォルトでは、タイトル列について昇順でソートします。
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public ActionResult Sort(string sort)
{
// ソート列/順序を判別するキー文字列を生成
ViewBag.Title = String.IsNullOrEmpty(sort) ? "dTitle" : "";
ViewBag.Category = (sort == "Category" ? "dCategory" : "Category");
ViewBag.Published = (sort == "Published" ? "dPublished" : "Published");
ViewBag.Viewcount = (sort == "Viewcount" ? "dViewcount" : "Viewcount");
// デフォルトではソート指定なし
var articles = from a in db.Articles select a;
// 渡されたキー文字列に従って、ソート式を決定
switch (sort)
{
case "Category":
articles = articles.OrderBy(a => a.Category);
break;
case "Published":
articles = articles.OrderBy(a => a.Published);
break;
case "Viewcount":
articles = articles.OrderBy(a => a.Viewcount);
break;
case "dTitle":
articles = articles.OrderByDescending(a => a.Title);
break;
case "dCategory":
articles = articles.OrderByDescending(a => a.Category);
break;
case "dPublished":
articles = articles.OrderByDescending(a => a.Published);
break;
case "dViewcount":
articles = articles.OrderByDescending(a => a.Viewcount);
break;
default:
articles = articles.OrderBy(a => a.Title);
}
return View(articles);
}
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@model IEnumerable<MvcModel.Models.Article>
... 中略 ...
<table class="table">
<tr>
<th>
@Html.ActionLink(
Html.DisplayNameFor(model => model.Name).ToString(),
"Sort", new { sort = ViewBag.Title })
</th>
<th>
@Html.ActionLink(
Html.DisplayNameFor(model => model.Category).ToString(),
"Sort", new { sort = ViewBag.Category })
</th>
<th>
@Html.ActionLink(
Html.DisplayNameFor(model => model.Published).ToString(),
"Sort", new { sort = ViewBag.Published })
</th>
<th>
@Html.ActionLink(
Html.DisplayNameFor(model => model.Viewcount).ToString(),
"Sort", new { sort = ViewBag.Viewcount })
</th>
</tr>
@foreach (var item in Model) {
... 中略 ...
}
</table>
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順番は前後しますが、1は与えられたキー文字列(引数sort
)に沿って、ソート条件をOrderBy/OrderByDescendingメソッドとして追加しています。キー文字列がない場合(default)とは、
- 最初にページを開いた時
- Title列を2回続けてクリックした時
を意味します。この場合は、Title列をキーに昇順ソートします。
そして、このキー文字列を決定するのが23のコードです。ビューの側(2)ではタイトル行のそれぞれで、以下のようなリンクを生成します。
<a href="/Linq/Sort?sort=Viewcount"> ビュー数 </a>
ActionLinkメソッドの第3引数(sortキーの値)は、3で用意しています。タイトル、カテゴリー、公開日、ページビュー列それぞれのデフォルト値は、空文字列、Category、Published、Viewcount(それぞれの列について昇順)です。ただし、現在のキー文字列と等しい場合には*24、それぞれを反転させて、dTitle、dCategory、dPublished、dViewcount(それぞれの列について降順)としています。これが同じ列を重ねてクリックした場合には、昇順/降順を切り替えるといった意味です。
- *24 Title列はデフォルトのソートキーなので、空文字列かどうかで判断します。
※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第18回~第22回)のみ表示しています。
連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。
18. LINQとは?[C#]
LINQ to Entitiesの説明に入る前に、まずはC#の言語機能として組み込まれたクエリ機能「LINQ」について簡単に紹介する。書籍転載の18本目(基礎編「5-3-1」)。
19. LINQ:データの検索条件を指定する - where句[C#]
クエリ後の結果セットをフィルターするためのwhere句/Whereメソッドについて解説する。書籍転載の19本目(基礎編「5-3-2」)。
20. 【現在、表示中】≫ LINQ:データを並べ替える - orderby句[C#]
取得したデータを並べ替えるためのorderby句/OrderByメソッドについて解説する。書籍転載の20本目(基礎編「5-3-3」)。
21. LINQ:取得列を明示的に指定する - select句/SelectManyメソッド[C#]
範囲変数(エンティティ)から特定のプロパティだけを取り出したり、プロパティ値を加工したりするためのselect句/Selectメソッドについて解説。書籍転載の21本目(基礎編「5-3-4」)。
22. LINQ:重複のないデータを取得する - Distinctメソッド[C#]
クエリ後の結果セットから重複したデータを除去するためのDistinctメソッドについて解説する。書籍転載の22本目(基礎編「5-3-5」)。