VB開発者のためのWindowsストア・アプリをリリースするための13の極意
極意13: Windowsストアにアプリを申請する
アプリをWindowsストアに申請する手順を解説。全13回の極意が完結。
前書き ―― 今回の極意について
最終回となる今回は、実際にアプリをWindowsストアに申請する手順を解説する。申請するアプリは、この極意の連載用に新規に作成した「カメラで春」というアプリだ(次の画面を参照)。
各種ロゴの作成
アプリが完成したら、各種ロゴ・ファイルを作成して、ソリューション・エクスプローラー内のAssetsフォルダー内に配置しておかねばならない。次の画像のような5つのロゴを作成した。
各画像のサイズについては、第2回の「Assetsフォルダー内の画像に関する表」を参照してほしい。
作ったアプリのロゴの背景色が、実際のアプリの画面の色と若干異なってしまった。まぁー、同系色ということで、このまま進めていこう。
アプリ名を予約する
アプリをWindowsストアに申請する第一歩として、アプリ名を登録しなければならない。
これにはまず、Visual Studio 2012(以下、VS 2012)のメニューバーの[プロジェクト]-[ストア]-[アプリケーション名の予約]を選択する。これによりWebブラウザーが開くので、登録したいMicrosoftアカウントにログインする(筆者の場合は3つのアカウントを持っているため、一番新しいアカウントにログインした)。
次に[アプリの提出]画面が表示されるので、一番上の[アプリの名前]をクリックする。するとアプリ名を入力するボックスが表示されるので、今回は「カメラで春」と入力し[アプリ名の予約]ボタンをクリックする。無事予約されると[保存]ボタンに変わるので、これをクリックする。もし、予約したアプリ名がすでに使用されている場合は、別のアプリ名にするよう警告が出る。無事保存されると、次のような画面に変わる。
アプリ・パッケージの作成
アプリ名を登録できたら次に、申請するときにアップロードする「アプリ・パッケージ」を作成する。
これにはまず、VS 2012のメニューバーの[プロジェクト]-[ストア]-[アプリ パッケージの作成]を選択する。[アプリ パッケージの作成]ウィザードが表示されるので、[サインイン]ボタンをクリックして、Microsoftアカウントでサインインする。[アプリケーション名を選択]ページが表示されるので、「カメラで春」を選択して、[次へ]ボタンをクリックする。
これにより[パッケージの選択と構成]ページになる。[バージョン]欄は通常「1.0.0.0」になっているが、この「カメラで春」は何度か申請を試みて中断したことがあるアプリなので、次の画面のようなバージョンになっている。ただし、今回の提出用にかなり手を加えて新しくした。また、今回作成した「カメラで春」はWebカメラを使用しており、ARM版のWindows 8(Surface RTなど)では動作しないので、[アーキテクチャ]としては、[x86]と[x64]だけを選択している。なお、Webカメラを使用したアプリが、なぜARM上で動作しないのかは、現時点で筆者は原因究明に至っていない。
最後にウィザードの[作成]ボタンをクリックすると、AppPackagesフォルダーが作成され、その中にx64用や、x86用に.appxuploadファイルが作成される(次の画面を参照)。このファイルをアップロードすることになる。
ファイルが作成されると、「パッケージの作成が完了しました」と表示され、次の画面のように、[Windows アプリ認定キットを起動する]ボタンが表示されるので、これをクリックする。
「Windows App Certification Kit 2.2」が起動して検証が開始される(次の画面を参照)。この検証にはかなり時間を要する。
検証結果に問題が無ければ、次の画面のように「合格」と表示される。検証結果に不具合があれば赤文字で「不合格」と表示される。「不合格」と表示された場合は、その理由も表示されるが、筆者の経験上、正直、読んでも内容を理解することは難しいだろう。筆者のこれまでに出た「不合格」では、PCを再起動して、VS 2012を再起動し、アプリ・パッケージを作成し直して、「Windows App Certification Kit 2.2」の検証を実行すると、ほぼ100%合格となっているので、まずはこの手順を試すことをお勧めする。
アプリを申請する
検証結果も「合格」になり、.appxuploadファイルも作成できたので、いよいよアプリの申請を行う。
VS 2012のメニューバーの[プロジェクト]-[ストア]-[アプリ パッケージのアップロード]を選択すると、Webブラウザーが立ち上がるので、アプリ名を登録したMicrosoftアカウントにサインインする。すると、次のような画面が表示されるので、[編集]リンクをクリックする。
販売の詳しい情報
表示される画面から、まず左側のメニューから[販売の詳しい情報]をクリックする。[価格帯]欄で「無料」を選択し、[市場]欄で[日本]にチェックを入れる。[カテゴリ]欄で「写真」を選択し、[アクセシビリティ]にチェックを入れる。これ以外のものについては、デフォルトのままで構わない。最後に[保存]ボタンをクリックする。
サービス
次に[サービス]の項目を入力する。ここは[価格帯]欄で「無料」を選択して[保存]ボタンをクリックするだけでいい。
年齢区分と評価証明書
次に、[年齢区分と評価証明書]の項目を入力する。[年齢]欄でどれを選択していいのかがよく分からない場合は、通常、[12 歳以上対象]を選択しておくとよい。ここも、あとは[保存]ボタンをクリックするだけでいい。
暗号化
次に[暗号化]の項目を入力する。[このアプリでは、暗号または暗号化を使用しているか、暗号または暗号化の呼び出し、サポート、あるいは実装を行っていますか?]の項目の[いいえ]にチェックを付け、そこで表示される[このアプリが、政府機関による校閲、承認、ライセンス……]という項目にもチェックを付けて、[保存]ボタンをクリックする。
パッケージ
この画面では、先に作成した.appxuploadファイルをアップロードする。今回はx86用とx64用の2つの.appxuploadファイルを、Webページ上の枠内にドラッグ&ドロップすると、ファイルのアップロードが開始される(次の画面を参照)。
ファイルのアップロードが完了すると、2つのファイルについて「パッケージをアップロードしました」と表示されるので、その時点で[保存]ボタンをクリックする。
説明
[説明]の項目を入力する。
[説明]欄にはアプリの操作方法や、アプリの価値や実用性、注意点などを細かく記入する。
[アプリの機能]の2つの入力欄については、このアプリで何ができるかを簡単明瞭に記述する。今回は「画像の拡大縮小移動合成」「画像の一覧表示」と入力した。
[スクリーンショット]欄に画像と説明を追加する。ここで使用できるスクリーンショットの画像サイズは1366×768pxなので、あらかじめアプリを動作させて、各画面のスクリーンショットを撮り、画像編集ソフト(PhotoShopなど)で1366×768pxの画像サイズで保存しておく。保存しておいた画像を指定し、簡単なコメントを追加する。[スクリーンショット]欄の各項目を埋めたのが次の画面だ。
[検索の対象となるキーワードやふりがな]という7つの入力欄には、検索のキーワードになりそうな文言を入力しておく。ちなみに、ここでは、「拡大縮小移動」「合成」「タッチディスプレイ」「ピンチ」「春」と入力しておいた。
[著作権と商標の情報]欄には、[?]をクリックして表示される例を参考に、例えば「Copyright © 2013, Eightman Project, eightman.」のように入力すればよい。
[プロモーション用の画像]欄には、414×180pxのサイズで作成しておいた画像を1枚だけ貼り付けた。
[Webサイト]欄にはホームページや、ブログを持っている場合は、そのURLを入力する。
[サポートの問い合わせ先情報]欄には、必ず有効なメール・アドレスを入力する。メール・アドレス以外ではリジェクトになる可能性が高いので注意した方がいい。
[プライバシー ポリシー]欄には、Webで公開しているプライバシー・ポリシーに関するページのURLを入力する。アプリがインターネットに接続している場合は、必ずこの項目にURLを入力しておかないとリジェクトされる。今回のアプリはインターネットに接続はしていないが、Package.appxmanifestファイルをVisual Studioで開いたときの設定画面で、[インターネット (クライアント)]の項目のチェックを、デフォルトのままの、チェックが入った状態にしているので、必ずプライバシー・ポリシーのURLを入力する必要がある。
全てを入力できたら、[保存]ボタンをクリックする。
審査担当者へのコメント
最後に[審査担当者へのコメント]を入力する。
この欄には4000文字まで入力が可能であるため、アプリの使い方、注意事項、アプリの有用性や実用性、また、このアプリへの思いを、情熱を持って記入するとよい。しつこいくらいに、認定してほしい旨を書くとよいだろう。審査する人はUS(アメリカ合衆国)の人である。日本人と違って、奥ゆかしさなどは求めてはおらず、逆に自己アピールの強い人間に興味を引かれることが多いのではないだろうか。こんなこと書けば嫌われはしないか、などと考えなくてもいい。とにかく、アプリ認定への強い思いを直接的に書くといいだろう。
内容が記入できれば[保存]ボタンをクリックする。そして[認定を受けるために提出する]ボタンをクリックする。ダッシュボードに戻ると、次の画面のように、[作業中のアプリ]欄の中で「カメラで春」が「認定中」と表示される。
これで2~3日後には結果が出る。なお、この記事執筆時点で実際に申請を行ったわけだが、無事、「カメラで春」は認定された。
ストアにアプリを申請すると、アプリを受け付けた旨のメールが届く(次の画像を参照)。また、リジェクトされても認定されても、結果を知らせるメールが届くので、楽しみに待っておこう。
申請したアプリの認定の進捗(しんちょく)状況はダッシュボードから確認できる(次の画面を参照)。
申請したその後
2013年7月16日の16時22分に申請したこのアプリが、7月16日の20時34分に認定されて、認定のメールが届いた(次の画像を参照)。
申請から認定まで4時間ちょっと、という速さで認定された。この後、「Windows ストアに公開されました」のメールが届き、公開されたURLが知らされた。ただし、「公開された」とのメールが来て、知らされたURLにアクセスしても、すぐにはアプリが表示されないことが多い。公開メールが届いてから、実際にWindowsストアに公開されるまでには、数時間を要することがあるからだ。気長く待つ以外に方法がない。
しかし、認定のメールが来たので、審査には無事合格したことになる。まずはめでたい。
・・・・・・そして数時間後、無事Windowsストアに公開された(次の画面を参照)。
これで、無事「カメラで春」は目的を達成した。
お知らせ
Windows 8の[検索]チャームで「ストア」を指定し、検索欄に、「kuniyasu」または「YakushijiKuniyasu」または「eightman」と入力すると、筆者の公開しているアプリの一覧を見ることができる。
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これで、13回にわたった、「VB開発者のためのWindowsストア・アプリをリリースするための13の極意」は終了だ。いかがだっただろうか? 筆者の経験による、ある意味、独断と偏見に満ちたノウハウだったかもしれないが、実際にWindowsストアに260本のアプリを公開した、実体験から導き出されたノウハウだ。きっと、読者の皆さまの役に立つと思う。
これを機に、皆さんもWindowsストア・アプリに挑戦して、申請してみてはいかがだろうか。きっと、ドキドキ、ワクワク感を体験できると思う。
では、またお会いできる日まで・・・・・・。
※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第9回~第13回)のみ表示しています。
連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。
9. 極意9: アプリで提供されるプライマリ・エクスペリエンスはアプリ内で行われなければならない
Windowsストア・アプリからWeb上の情報を表示するために、Webブラウザーを開くと申請時にリジェクトされる?! その対象方法を紹介する。
10. 極意10: サポートしている全ての言語でアプリをローカライズしなければならない
日本語版のWindowsストア・アプリ上の表記に英単語があると申請時にリジェクトされる?! その対象方法を紹介する。
11. 極意11: バージョンの一致と日本語OS
アプリの実バージョンと、表示しているバージョンが一致していない場合のリジェクト例。また、日本語版限定に用意した機能を申請する場合に注意するポイントを紹介する。
12. 極意12: アプリは応答を停止したり、予期せず終了したり、プログラミング・エラーを含んでいてはならない
当然ながらアプリにバグがあれば申請はリジェクトされる。その実例と、Webカメラを使った際のある不具合の解消方法を紹介する。