Build Insider Survey【2015年11月実施】
なぜ勉強会・カンファレンスに参加するのか? 良かった勉強会・残念だった勉強会
Build Insiderが半年ごとに実施しているアンケート調査の結果レポート(前編)。今回の調査テーマは「勉強会参加」。参加頻度/参加目的/具体的な参加理由/良かった点/残念だった点について結果を示し、簡単に考察する。
近年、マイクロソフトやグーグルのようなITサービスを提供する企業が開催する大規模なカンファレンスだけでなく、ユーザーコミュニティなどが自主的に開催する勉強会が盛り上がっている。平均的なエンジニアは、どのくらいの頻度で、どのような目的で勉強会に参加しているのだろうか? また、参加した人はどのような勉強会を「良かった」と思い、「良くなかった」と思うのだろうか?
これを調査するため、Build Insiderではアンケート調査を実施した。質問テーマは以下のとおり。本稿の内容が、カンファレンスや勉強会を開催する人や参加する人の参考になるとうれしい。
- 勉強会・カンファレンスへの参加頻度
- 参加する目的(業務上か/個人的かに大別)
- 参加する/参加しない、その具体的な理由
- 「参加して良かった」と思ったポイント・決め手
- 「参加して失敗した/残念だ」と思ったポイント・決め手
- 「良い/残念」と思ったポイント・決め手の全回答
開発者/Web制作者の現状について ―― 勉強会参加の実情
勉強会・カンファレンスへの参加頻度
過去1年間の勉強会参加頻度は、以下の通りだった(上位5つ)。
- 1年に2~3回は参加している
- 2勉強会・カンファレンスには参加していない
- 3月に1回以上参加している(年12回以上)
- 4年に4回以上参加している
- 52カ月に1回以上参加している(年6回以上)
参加しない人(2)が2割近くいるが、それを除く8割以上という大多数のエンジニアが勉強会に参加していることが分かった(※アンケートに回答していただける積極的なエンジニアによる回答結果であるので、その点は割り引いて考えた方がよいかもしれない)。
参加しない人を除外すると(=参加する人だけ集計すると)、1+3+4+5の4回答(=年に2~12回の参加)だけで約9割を占めており、「年に1回のみ」や「1カ月に何回も」参加するようなどちらかに片寄った人は比較的少ないようである。「年に2~3回」と回答した人が26%と比較的多いが、参加する人だけで平均の頻度を概算すると2カ月に1回程度になりそうだ(※厳密な回数を聞いていないので、概算となる)。
参加する目的(業務上か/個人的かに大別)
4人に3人は、勉強会には個人的な目的で参加しているようだ。
- 1個人的な目的(例:仕事とは関係ないが関心がある/スキルアップ/友人作り/趣味)
- 2業務上の目的(例:仕事で必要な情報・関連する情報の収集/仕事獲得・就転職のきっかけ)
参加する/参加しない、その具体的な理由
・「その他」の具体的な内容例:「乳児を育児中であり時間が作れない」「老齢なため」「時々個人情報を収集している不逞の輩がいるから(隠れて写真を撮影したり、盗み聞きをしたり)」「食わず嫌い」。
勉強会・カンファレンスに参加する理由としては、下記の5つが多かった。
- 1最新技術をもっと知りたい/最新技術が好き
- 2将来、仕事で生かせそうな技術を、幅広く知りたい
- 3現在の仕事に直結する技術を効率的に習得したい
- 4仕事には無関係だが、知識をできるだけ広げたい
- 5友人・知人・コネを作りたい/交流したい
前述の「参加頻度」の結果では約80%が参加する人だったので、1の73.5%というのは、つまりほとんどの人が理由としてこれを挙げていることになる。さらに2や3を理由として挙げる人が多いところを見ると、
個人的な知的好奇心で参加する人がほとんどで、できれば仕事でその知識を生かしたいと考えている人が多い
と言えるだろう。
一方、参加しない理由として多く挙がったのが次の2つだ。
- 1時間がない
- 2地方にいるため参加しにくい
「参加頻度」の結果では約20%が参加しない人で、1の19.7%というのはほぼ全員と言ってよい。勉強会に参加しない人は、特に時間がないことが大きな原因となっている。
「参加して良かった」と思ったポイント・決め手
今回のアンケートでは、カンファレンスや勉強会の満足度を高めるには開催者がどんな点に注意すればよいか、その指標となるよう、参加して良かった点と悪かった点を聞いてみた。多数の回答が得られたが、その傾向を筆者なりにまとめると、
勉強会参加で好印象となるポイントは、役立つ内容であるのに加え、人脈や交流につながること
が大きいようだ。筆者がまとめた傾向の内容は、以下のとおり。
- 【新しい知識が獲得できた/参考になる情報があった】(21件)
- 【人脈が広がった/交流できて有益だった】(17件)
- 【講演内容の質が良かった】(11件)
- 【講演方法が良かった】(7件)
- 【運営側の質やサービスが良かった/勉強会のテーマやスピーカーが良かった】(7件)
- 【熱意のある雰囲気や参加しやすい雰囲気が良かった】(7件)
- 【議論内容が良かった】(3件)
- 【登壇者として成功できた】(2件)
「参加して失敗した/残念だ」と思ったポイント・決め手
逆に、
残念に思われるのは、PR色が強い場合や、内容あるいはレベルが告知と違う場合、内輪で盛り上がっている勉強会の場合
のようである。傾向の内容は以下のとおり。
- 【内容のレベルや方向性が想定と違った】(17件)
- 【PR色が強い内容だった】(12件)
- 【クローズドな雰囲気が好きになれなかった】(8件)
- 【運営・企画側の質が悪かった】(8件)
- 【講演内容がつまらかった/信頼性が低かった】(4件)
- 【講演者の発表スキルが未熟だった】(4件)
- 【参加者が放置され、登壇者の自己満足ばかりの内容だった】(3件)
- 【自分の中でもっと改善したいことがある】(3件)
- 【個人情報が収集された/しかも他に流された疑いがある】(2件)
- 【登壇者として失敗した】(2件)
- 【議論が盛り上がらなかった】(1件)
- 【講演方法が良くなかった】(1件)
- 【有償で高かった】(1件)
「良い/残念」と思ったポイント・決め手の全回答
上記の傾向を作成する基となった、それぞれ具体的な回答内容も以下に載せておこう(※文章は、漢字の間違え以外は、そのままにしている)。
Q9. これまでに参加したカンファレンスや勉強会で、「参加して良かった」と思ったポイント・決め手があれば、具体的にお聞かせください。
【新しい知識が獲得できた/参考になる情報があった】(21件)
- 最新技術に触れたとき
- 新たな技術について情報収集ができた。
- 最新技術に関する情報を事前に収集できたこと
- InfoQ、デブサミ
- 浅く広い視点も持つことができた
- ネットや書籍では手には入らない情報を入手できた。
- 普段あまり馴染みのなかった技術に触れて興味を持ち、技術の幅が広がった。
- 業務が1人での開発が多いので,色々な知見が得られるのが大きい.
- SQLServerのチューニング方法を知ることができたこと
- これまで我流で使っていたツールの効率的な使い方や新しい使い方を知ることができた。
- 話の内容を理解して、自分の知識が増えたとき。
- 通常業務では知りえない新しい開発手法や、便利なツールの情報を得られた。
- 疑問に感じていた部分の解消につながったり、アイデアを思いつくことができた
- ベンダーの公式回答が聞けること
- 自分の知らない知識が増える。
- 新しい技術やライブラリを知って効率的な開発手法を学んだとき。
- 最新技術やロードマップなどを知ることができたこと
- 普段の業務では知り得ない知識を吸収できる
- 知りたい内容を詳しく理解できた勉強会。
- 知見が広がった。多少の疑問点や意見を伺える知人が増えた。最新の技術動向がわかる。最新過ぎても一般化しない物もあるという事象を確認した。参加した事をブログに書く事で多少の文書力もあがったかも知れない。
【人脈が広がった/交流できて有益だった】(17件)
- 有名な技術者と顔見知りになれる
- 特定の技術について発表するような勉強会などだと、懇親会などでも共通の話題が多くなるため、その後交流も続くこともあり、良かった
- 主催者や登壇者と直接コミュニケーションを取れる場が用意されていて、非常に有意義な情報交換等ができた
- 参加者同士での対話による気づきを得る場
- 著名な方とコネクションを築けたこと 異なる発想が得られたこと
- 知りあいが増えた 技術情報の引き出しが増えた
- 人脈が広がった
- 勉強会後の交流会
- 参加者と技術について語り合うことができた時
- 大学の先輩を通じてその分野に詳しい人と知り合えた。また、知識の共有を行うことができた。
- 登壇者の方や著名な方と直接お話をする事が出来た。
- 勉強会後に懇親会が行われる場合もあり、色々と有益でした。
- 今までにないジャンルの方との交流経験が増えたこと。 自分がベンチャーにいるので大企業がどのようなことを行っているのかは話していて面白かった
- 沢山の友人を得ることが出来ました
- 新たな知人が出来たこと
- 知り合いが増える。
- 普段かかわらない方と、お話をする機会を得られる
【講演内容の質が良かった】(11件)
- 各セッションの内容が良かった。
- 結果的にですが,その技術を使って「何ができるか」はっきりしている勉強会は参加して良かったと思います。
- スピーカーの話しが良かったとき
- 興味分野の技術を体系的に解説していただき、分野を見渡せるようになった。
- ある技術をこういう風に使ったらうまくいった、逆にこういう点はうまくいかなかったという事例を聞くことができた点。
- MakerCon 盲点にやりやすいところをとりあげ、参考になった。
- 知ることのできなかった情報がたくさん集まったとき
- わからないことが聞ける
- ネット上では得られない開発現場の生の声がこと。
- 自身の経験を語っている(Webや書籍からのパクリ、ウソなどを言わない)
- エバンジェリストではなく、実際の開発者が登壇するカンファレンスがよい。メリットばかりでなく、技術採用に伴うハードルや落とし穴に関して話が聞けるため。
【講演方法が良かった】(7件)
- 発表にライブコーディングがあると後で自分も同じものをやってみたくなるので参加して良かったと思う。
- より具体的、実践的な内容のもの。ハンズオンなど。
- 自分が使ったことがない技術について、習得できたとき(ハンズオンやハッカソンなど)
- ハンズオン
- ハンズオン形式のものが理解しやすくてよかったです。
- 実際に手を動かす形式の勉強会(Unity等)は勉強になります。
- 購入検討中だったり、興味があるけど知識はない技術や機器類を使用したプレゼン。どんなものかわかるので大変参考になる。
【運営側の質やサービスが良かった/勉強会のテーマやスピーカーが良かった】(7件)
- 段取りやタイムスケジュールがしっかりしていて、遅れた場合のカバーがちゃんとできてる
- プレゼント
- 書籍等々がもらえる
- 事後、スライドと動画が公開される。
- 実績のあるスピーカがいること
- 半日~一日の開催時間で多くのテーマを扱ったカンファレンスは、得られるものも多いし、充実した時間になる。
- テーマの設定とそれに対応した登壇者・セッション内容が企画されている
【熱意のある雰囲気や参加しやすい雰囲気が良かった】(7件)
- ブログ等では感じられない熱気を感じることができる。 周りに同様に勉強している参加者がいて、刺激になる。 自分のモチベーションアップにつながる。
- 収穫があったり、参加者や主催者の熱意を感じたとき
- 勉強会の雰囲気を知れたこと
- 知っている人が参加している
- あまり内内過ぎない、新規参加者遠慮するような雰囲気がないところ
- 内容が敷居が高すぎず、オープンな雰囲気であること
- 初参加の人でも良かったと思える勉強会。既成コミュニティの内輪話的な勉強会はNG。
【議論内容が良かった】(3件)
- オープンソースカンファレンス2015京都では、技術者としての生き方を考えさせられる興味深いテーマのパネルディスカッションがあって大変良かった。
- Webに上がってくる資料だけではなく、現場での生々しいやり取りやTipsを得られた時
- 技術的な議論ができた時。
【登壇者として成功できた】(2件)
- 人前で話すことに抵抗が無くなった
- 登壇後に質問にきてくださったとき
Q10. これまでに参加したカンファレンスや勉強会で、逆に「参加して失敗した/残念だ」と思ったポイント・決め手があれば、具体的にお聞かせください。
【内容のレベルや方向性が想定と違った】(17件)
- 初心者向け過ぎたとき
- 技術的なものを求めて行ったがどちらかといえばビジネスよりの話だった
- 自分にはあまり興味のない内容。
- 思っていた内容とかなりかけ離れた内容だった時
- 想定していたレベルではなかった(Web 上の入門記事で十分だった)。
- 自分のレベル感と会わない勉強会に参加したとき
- 想定していた内容とあまりにかけ離れていた
- 募集ページでは初心者向けとなってたのに、内容が上級者向けだった
- 初心者向けの勉強会も多く、得られるものがなかった時。
- 内々すぎる内容でためにはなったがそのままでは知識を使うことができなかった
- 既にネット上で調べて知っていた情報であった。
- 興味分野とはズレていた。
- 設計がきちんとされていない勉強会や、専門的過ぎる話をされてしまうと楽しさが半減した
- 話す内容の技術レベルが、期待したものと合っていないとき。
- 思っていたものと内容が違った。内容がヌルすぎた。
- 事前に発表されていた内容とあまりマッチしていないと、参加した時間を考えると残念。
- Unityのゲーム以外の用途のカンファレンス (弊社はゲーム製作会社なので得るところがほとんどなかった)
【PR色が強い内容だった】(12件)
- 製品紹介に終始する講師
- 企業のPR色が強過ぎるとき
- 1社のツールの説明に終始されるとき
- 特定の企業やサービスの宣伝になっている
- 宣伝の要素が大きい物
- 結局、開発ツールの営業だった!
- タイトルとかけ離れ、自社プロダクトの説明に終始している。(自社プロダクトの説明はいたしかたないため、タイトルと結びつけるなど、工夫が欲しい)
- セッション内容が宣伝だけだった。
- 内容が簡単な製品紹介のみで終わったもの。 但し、製品で使っている技術や機能などの細かい所まで言及したものは別ですが。
- そういう事実の説明は無しに全く製品の宣伝で技術的な解説もなかったとき
- 勉強会ではなく、協賛企業の只の製品宣伝だっただけ、というのは参加して後悔した。
- 企業製品の紹介・PRが度を越えている場合も残念。
【クローズドな雰囲気が好きになれなかった】(8件)
- 内輪だけの盛り上がりで、初めて来た人の事まで考えられていなかった
- 内輪過ぎるネタばかりであること
- まったく知らない人たちの会に参加
- 内輪で盛り上がっている
- 運営者の内輪ウケだけになっている内容が多い場合
- 身内ネタで盛り上がるような出来上がっているコミュニティには参加し難いし懇親会も参加できない.
- 古くからの知りあいばかりでなれ合いみたいになってて、溶け込めなかったとき
- 内輪の盛り上がりが大きくなかなか輪に入れないとき
【運営・企画側の質が悪かった】(8件)
- 情報は公開されたものの、登壇者や内容が直前まで調整中のようなイベントの場合、発表内容のテーマやレベル感がまちまちで、得られるものが少ないことがあった
- 運営が十分な準備をしていなかったのか、セッション間の移動に手間取ったり、休憩スペース等がなかったりしたことがあった
- 大きいカンファレンスで、キャパオーバーな集客の時。 移動の導線が悪く、次のセッションに間に合わない
- 無償の大規模なカンファレンスなどでしょうがないところもあるけど、場所の移動が大変なところ。昼食事情が悪いところ
- 前もって公開されていた内容のセッションが時間の関係で行われなかったとき
- どれとは言わないが、運営の気合いが感じられないイベント全般
- 進行がグダグダ、シャッター音がうるさいなど
- 資料が公開されない場合は内容の確認がやりにくく残念でした。
【講演内容がつまらかった/信頼性が低かった】(4件)
- 内容の薄さ(時間がもったいなかった)
- 雑談の多い内容だった。得るところが少なかった。
- Webや書籍などパクリをさも経験したように言う - 実際にはできない実装や挙動をさもできるように言う - 「ちゃんと」「しっかり」など具体性に欠ける言葉を連呼する
- 非公式見解ばかりで中身のないこと
【講演者の発表スキルが未熟だった】(4件)
- なにを言っているのか?わからなかったとき
- 発表者が聴衆を置いてけぼりにしたとき
- ハンズオンだったが、開発環境構築すらままならなかった場合
- 勉強会によっては、登壇者の方の話し方がいまいちな場合があり、その場合は時間がもったいないと感じる。
【参加者が放置され、登壇者の自己満足ばかりの内容だった】(3件)
- IoT縛りの勉強会、JSミニッツ5、JSオジサン どちらかというと登壇者が騒ぎたいだけの自己満のイベントだから
- 知識自慢みたいな登壇者ばかりだった勉強会。
- 参加者が放置されすぎる環境であること
【自分の中でもっと改善したいことがある】(3件)
- 何かやりたいことがあるわけでもなく,なんとなく参加して何も得られなかったこと。
- 懇親会等で、他の技術者と積極的に交流できず後悔したことがある。
- 学生なので勉強会はアウェイになりやすい。 ポジティブに捉えれば、能動的に行動するきっかけになる。
【個人情報が収集された/しかも他に流された疑いがある】(2件)
- 個人情報収集されたことと、一部デマを広げられたこと
- 会社に不動産関連の電話がかかってくる。 名簿屋に個人情報を流されたと推測しています。
【登壇者として失敗した】(2件)
- 登壇する際に聴衆のレベル想定を誤った時
- ライトニングトークを行ったときに5分を過ぎてしまったことに気づかないぐらい緊張していたこと
【議論が盛り上がらなかった】(1件)
- モデレーターが一方的に話し、登壇者がしゃべらなかったとき
【講演方法が良くなかった】(1件)
- ヴィデオキャスト等で受けることの出来るチュートリアルを行うハンズオンなど。
【有償で高かった】(1件)
- 会費が高かったものです。
■
以上、繰り返しになるが、勉強会やカンファレンスを開催する人たちにとって、この結果が役立てば幸だ。
なお最近では、技術を提供する側だけでなく、利用する側の企業が主催する勉強会も増えてきている。また、ユーザーコミュニティによる勉強会も活発である。勉強会の開催が比較的簡単になってきている現状では、逆にメディアが開催する勉強会やカンファレンスは少なくなってきているのではないかと感じている。メディアの場合、特に大規模な勉強会・カンファレンスの開催においては多額の費用が発生するので(大体、1日開催で1人当たり1~2万円ぐらいの費用をかけている場合が多いのではないかと思う)、それを賄うために多数のスポンサーを集めざるを得ず、集めても収支はトントンか赤字になるケースも多く、読者の希望に沿って大規模なカンファレンスを開催するのはなかなか難しいというのが現状だ。しかもイベント開催に忙殺されて、本業がおろそかになるという悩みもある。このような状況のためBuild Insiderは、企業主催やコミュニティ主催の勉強会・カンファレンスを例えば今回のアンケートのような形で支援することで、読者の勉強会参加のニーズに間接的に少しでも応えていきたいと考えている。
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回答者属性
年齢層
年齢層は、前回(半年前)とそれほど大きな変化はないが、23歳までの学生層が約7%(前回5%)で少し増えたものの、24~34歳の若手層が42%(前回47%)と少し減り、35~44歳の中堅層が38%(前回35%)と少し増えたため、全体で見るとほんの少し年齢層が上がったようだ。今回は集客がSNS(TwitterやFacebookなど)中心ではなく、ダイレクトメール(DM)中心となってしまったため、それによる影響も少なからずあるのではないかと考えている。
職業
「業務アプリ開発者」と「Web開発者」が多い。これも前回とほぼ同じだが、「業務アプリ開発者」の割合が55.6% → 53.8%と1.8%ほど微減している。その一方で、「スマホアプリ開発者」や「ITアーキテクト」など、その他の職業は3%前後増加しているものもある。このデータだけでは断言できないが、今、脱・業務アプリ開発の流れがあるのかもしれないと考えている(もしくはサイトの読者属性が変化してきている可能性がある)。
・「その他」の具体的な内容例: 「プリセールス」「トレーナー、経営者」「装置制御系」「フリーランスのアプリ開発/デザイン屋」「今はプロジェクトには関与していないので」「家事手伝い」「業務アプリ運用」。
プログラミング言語
Webデザイン/開発で必須の「JavaScript」を使う人が60%を超えているのは当然として、「C#」も60%を超えて1位になっているのは、本サイトの特徴だろう。
前回と比較すると、1位と2位の順位に変動はないものの、「C#」や「Visual Basic(.NET)」がそれぞれ4~5%ほど減少しており、この半年ほど.NET系の活気が少し弱まっているようだ。一方で、「Visual Basic 6」(VB6)は9%→13%に増えており、Windows 10が登場したことで、それへのVB6アプリの移植案件がまだ存在することが推察される。
この他の注目点としては、最近、機械学習の注目度の高まりを受け、それに親和性が高い「Python」言語が注目されている。今回のアンケート結果では、その「Python」が「Ruby」を僅差で抜いた結果となった。
・「その他」の具体的な内容例: 「Kotlin」「Groovy」「Rust」「LabVIEW」「PL/SQL」「VBA」。
作業用マシン
圧倒的に「Windows」を使う人が多い。ただし「Windows」は前回とほぼ同じパーセンテージなのに対し、「Mac」は7%上昇、「Linux」は8.4%上昇しており、各OSを全て扱うエンジニアが増えつつあるようだ。最近では、AtomやVisual Studio Codeなど開発環境がクロスプラットフォーム化してきていることが影響しているのではないだろうか。
■
次回アンケート調査時にメールで通知してほしい場合は、こちらからメールアドレスを登録されたい。
※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第8回~第12回)のみ表示しています。
連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。
8. 2015年、人気の「開発技術&ツール」はどれ? ついにクラウドが過半数、AWS vs. Azureの2強時代、Atom躍進
開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術やツールを、ランキング形式で発表。2015年度後半はこれらに注目しよう。
9. In 2015, the most popular developer technologies and tools in Japan: AngularJS vs. React, AWS vs. Azure, and a big leap of Atom
This article describes the popularity rankings of development technologies and tools which developers want to use in the future.
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11. 技術トレンド調査: Visual Studio Code登場で競争激化、さらに進んだクラウドへの移行
開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術やツールを、ランキング形式で発表。特に開発用テキストエディターの競争が激化して面白くなってきている。
12. 2016年、ReactがAngularを抜いて1番人気に! JSライブラリの利用意向はますます高まっている
Web制作者/開発者が「今後、使いたい」JavaScriptライブラリおよびWeb技術を、ランキング形式で発表。2016年度はこれらを押さえよう。