Build Insider Survey【2014年10月実施】
2015年に向けて人気が高まっている、JavaScriptライブラリ/スマートフォン/次世代デバイスなどの開発技術
開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術を、ランキング形式で発表。2014年度後半はこれらに注目しよう。
「“3K”と言われるほどブラックではない?! デベロッパー&Web制作者の実態と未来予想」では、勤務時間や業務時間外でしていることなど、デベロッパー&Web制作者の実態について紹介した。本稿は、同じ(自記式)アンケート調査を基にした記事で、「Web」「デバイス」「スマートフォン」「IDE」などの開発技術やツールについて「本当は何が人気なのか」を明らかにする(※ちなみに、本稿と同じ質問内容のアンケート調査を毎年4月と10月に実施予定である。この定点観測により、技術トレンドの推移を浮き彫りにしたいと考えている)。
さっそく人気技術のランキングをジャンル別に紹介していこう。
- 開発技術全体の動向: 技術領域の人気傾向
- Web/スマートフォン/次世代デバイスの開発技術: Web技術/スマートフォン開発技術/デバイス技術
- 各種アプリを支える技術&ツール: クラウドプラットフォーム/データベース/ストレージ/IDE(統合開発環境)/開発者向けテキストエディター
- Build Insiderへのフィードバック: Build Insider MEETUPイベントテーマ/Build Insiderへのコメント
- 回答者属性: 年齢層/職業/プログラミング言語/作業用マシン
- 実施期間: 10月9日~ 28日
- 総回答数: 140件 (各質問における有効回答数は、各グラフ画像上の「回答数」を参照)
- 回答者属性: 本稿の末尾を参照
開発技術全体の動向
まずは、どういった技術領域の人気が高いかをチェックしよう。
技術領域の人気傾向
本アンケート調査では、開発領域を大きく下記の4種類に分けた。
- 1スマートフォン/タブレット開発
- 2Web制作/Webデザイン/Web開発
- 3Windows/Macデスクトップ開発
- 4次世代デバイス開発(KinectやLeap Motion、Oculus Rift、Arduinoなど)
人気が高いのはスマートフォンとWebの開発で、それぞれ7割程度の開発者が興味を持っている。一方、次世代デバイスやデスクトップの開発は5割程度で少し伸び悩んでいる。4月の結果と比較すると、デスクトップ開発と次世代デバイス開発の順位が逆転している。これは、後述するように今回のアンケート回答者はWebエンジニアよりも業務アプリ開発者の方がやや多かったので、その影響と思われる。
Web/スマートフォン/次世代デバイスの開発技術
Web技術
Web技術の1つとして、JavaScriptライブラリ/ツールの利用意向を調査した。その結果は以下の通りだった(上位5つ)。
- 1altJS(JavaScript代替。TypeScript、CoffeeScriptなど)
- 2MV*フレームワーク(AngularJS、Knockout.jsなど)
- 3UIライブラリ(jQuery UI、Bootstrapなど)
- 4JavaScriptテストツール(QUnit、Jasmineなど)
- 5CSSプリプロセッサー(CSSメタ言語。Sass、LESSなど)
・6位以降の順位: 「Webグラフィックス(three.js、D3.jsなど)」「タスクランナー(Grunt、gulp.jsなど)」「DOM操作(jQueryなど)」「モバイルフレームワーク(jQuery Mobileなど)」「UIコンポーネント(Web Components)」「リアクティブプログラミング(RxJS、React、Bacon.jsなど)」「テンプレートエンジン(Handlebars.jsなど)」。
※「その他」に、複数の人で同じ内容の回答はなかった。
altJSが前回の3位から1位に上昇しており、TypeScriptやCoffeeScriptの人気が高まっている。
スマートフォン開発技術
スマートフォンアプリの開発技術としては、Objective-C/Java言語を使ったネイティブアプリ開発だけではなく、C#やHTML5/JavaScript言語などを使ってマルチプラットフォーム対応で開発する技術の人気が高まっている。人気順は以下の通りだった(上位6つ)。
- 1Xamarin(C#)
- 2Windows Phone/Windowsストアアプリ ネイティブ(C#/Visual Basic/JavaScript)
- 3Unity(C#/JavaScript)
- 4iOS ネイティブ(Objective-C/Swift)
- 5PhoneGap/Cordova/Monaca(HTML5)
- 6Android ネイティブ(Java)
・7位以降の順位: 「Titanium Mobile(JavaScript)」「Cocos2d-x(C++)」「Haxe」「Qt(C++/JavaScript)」。
・「その他」の具体的な内容例: 「Unreal Engine」「C++Builder」「Corona SDK」など。
今回のアンケート回答者はC#開発者が比較的多かったので、それが結果にも少し反映されていると考えられるが、C#などでマルチプラットフォーム対応のアプリを開発できる技術が、1~3位に入っている。一方で、前回と比べると、PhoneGap/Cordovaの人気が少し後退しているように見える。
デバイス技術
KinectやGoogle Glassなどの次世代型デバイス技術としては、Raspberry Piの人気が高まり、前回と比較してKinectが1位から3位に落ちた。
- 1Raspberry Pi
- 2Google Glass
- 3Kinect
・4位以降の順位: 「Leap Motion」「Android Wear」「Arduino」「Oculus Rift」「Pepper」「Intel Galileo」「Intel Edison
XBee」「Netduino」「Rapiro」。
・「その他」の具体的な内容例: 「Pebble」「mbed」「TIZEN」「Myo」「.NET Gagetter」「Apple Watch」。
各種アプリを支える技術&ツール
クラウドプラットフォーム
今回の結果では、AWSとMicrosoft Azureが逆転し、Azureが1位となった。
- 1Microsoft Azure
- 2AWS
- 3Google Cloud Platform(App Engineなど)
- 4Heroku
・5位以降の順位: 「さくらのクラウド」「DigitalOcean」「ニフティクラウド」「SoftLayer」。
・「その他」の具体的な内容例: 「Parse.com」「クラウドは必要ない」。
Azureの機能もかなり多岐にわたってきており、実用しやすくなってきたことが理由だろう。いずれのクラウドプラットフォームも積極的に機能が追加されているので、今後もまだまだ人気動向に変化が起きそうだ。
データベース/ストレージ
データベース/ストレージの利用意向は、以下の通りだ(上位4つ)。
- 1Microsoft SQL Server
- 2Microsoft Azure SQL Database
- 3MySQL
- 4MongoDB
・7位以降の順位: 「PostgreSQL」「Amazon S3」「Microsoft Azure Storage」「SQLite」「Redis」「MariaDB」「Oracle」「Elasticsearch」「DynamoDB」「HBase」「Riak」「Microsoft Access」「CouchDB」「Cassandra」「DB2」「Datomic」「RavenDB」。
・「その他」の具体的な内容例: 「Redshift」「Firebird」「Tokyo Tyrant」「H2」「Azure DocumentDB」。
SQL Server系が強かったが、この結果も回答者属性(C#開発者が多い)の影響があるだろう。前回と比べると、クラウド上のMicrosoft Azure SQL Databaseの利用意向が23.3%から42.86%と大幅に増えている。今回のアンケートでは、クラウドストレージであるAmazon S3やAzure Storageを回答選択肢に含めたが、これらの利用意向も非常に高く、クラウド利用が徐々に広がっていることが分かる。
IDE(統合開発環境)/開発者向けテキストエディター
IDEやエディターの中では、主に以下のものの人気が高かった(上位5つ)。特にVisual StudioとIntelliJ IDEAの人気が高い。
- 1Visual Studio
- 2Visual Studio(ReSharper プラグイン搭載)
- 3IntelliJ IDEA
- 4Xamarin Studio
- 5Sublime Text
・6位以降の順位: 「Xcode」「Eclipse」「Vim」「Atom」「Emacs」「PhpStorm」「RubyMine」「NetBeans」「Light Table」。
・「その他」の具体的な内容例: 「WebStorm」「Qt Creator」「秀丸」「Android Studio」「Zend Studio」「Coda」「AppCode」。
Build Insiderへのフィードバック
このアンケート調査を通じて、Build Insiderが実施するイベントのテーマや、サイトに対するご意見を伺ったので、ここで簡単にご紹介したい。
Build Insider MEETUPイベントテーマ
Build Insider MEETUPとは「あの筆者に会えるイベント」というコンセプトで開催している勉強会で、「Leap Motion」と「.NET Week スペシャル」というテーマで2回開催している。今後も同様のイベントを、機会を見て実施したいと考えているが、どのようなテーマで実施するかの参考にさせていただくための質問を設けてみた。その結果は以下の通り(上位5つ)。今回もGit&GitHubの人気が高かった。
- 1【チーム関連】 Git&GitHub
- 2【IDE関連】 Visual Studio
- 3【クラウド関連】 Microsoft Azure
- 4【HTML5関連】 HTML5最新仕様
- 5【HTML5関連】 TypeScript
- 6【チーム関連】 Visual Studio Online
・「その他」の具体的な内容例: 「Corona SDK」「Chef」。
Build Insiderへのコメント
「Build Insiderへのご意見・ご希望などがあれば、具体的にお聞かせください」という質問で、多くのコメントをお寄せいただいた。まずはこれについて感謝したい。ここでは全てを紹介しないが、コメント内容は主に、イベント開催の希望(関西での実施/350人以上の大規模なカンファレンスなど)や、記事コンテンツ(旧技術から新技術への移行手法/継続技術/基幹的技術/仕事に関係のない面白い記事など)、記事に付随するコードサンプルの公開(jQuery UIなどは公開検討中)であった。
回答者属性
年齢層
24~44歳で全体の8割。
職業
「業務アプリ開発」と「Web開発者」が多い。前回と比べ、今回は特に業務アプリ開発者が多かった。
※「その他」に、複数の人で同じ内容の回答はなかった。
プログラミング言語
Webデザイン/開発で必須の「JavaScript」を使う人が50%を超えているのは当然として、「C#」も50%を超えて1位になっているのは、本サイトの特徴だろう。
・「その他」の具体的な内容例: 「Clojure(4名)」「Delphi(2名)」「HSP」「TSQL」「Powershell」「アセンブラー」など。
作業用マシン
圧倒的に「Windows」を使う人が多い。
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以上、本稿の内容が何らかの参考になるとうれしい。
次回のアンケート調査は、3月末ごろから約3週間程度で開催したいと考えている。ぜひ次回のアンケート調査にご協力いただけると幸いだ。
姉妹記事
※以下では、本稿の前後を合わせて5回分(第1回~第5回)のみ表示しています。
連載の全タイトルを参照するには、[この記事の連載 INDEX]を参照してください。
1. We surveyed the most popular developer technology in Japan
The popularity rankings of development-technologies which developers want to use in the future.
3. 今、本当に人気がある「JavaScriptライブラリ&ツール」を調べてみた
Web制作者/開発者が「今後、使いたい」JavaScriptライブラリおよびWeb技術を、ランキング形式で発表。2014年度前半はこれらを押さえよう。
4. 【現在、表示中】≫ 2015年に向けて人気が高まっている、JavaScriptライブラリ/スマートフォン/次世代デバイスなどの開発技術
開発者が「今後、使いたい」と考えている開発技術を、ランキング形式で発表。2014年度後半はこれらに注目しよう。
5. “3K”と言われるほどブラックではない?! デベロッパー&Web制作者の実態と未来予想
実働時間や勤務時間外でしていること、転職する際の決め手、現職と転職希望先の職種、東京オリンピックが開催される2020年のIT業界予想などのアンケート調査結果を紹介。